アスペルガー症候群の定義、解釈
WHOの「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版(通称ICD-10)」では、「精神および行動の障害」のなかの「心理的発達の障害」に分類され、自閉症等とともに「広汎性発達障害」のなかに位置づけられています。またアメリカ精神医学会の診断基準 (DSM-IV-TR) ではアスペルガー障害と呼ばれています。
いっぽう「アスペルガー症候群と高機能自閉症は同じものか否か」等、定義や解釈には常に議論があり、それを受けて2013年発行予定のDSM-5の草案ではアスペルガー症候群は独立した診断分類としては削除され、「自閉性障害」「小児期崩壊性障害」「特定不能の広汎性発達障害」とまとめて「自閉症スペクトラム障害」にすることが提案されています。
アスペルガー症候群の命名者であり、この障害の存在を世界に広めたローナ・ウィングは、当初から自閉症との連続性を指摘しており、「自閉症スペクトラム(連続体)」として、自閉症児と同様の支援が受けられるよう訴えていました。その意味では、アスペルガー症候群というセンセーショナルな名前が1つの役目を終え、「自閉症スペクトラム障害」のなかに吸収されることは、彼女が一番望んでいたことなのではないかとも想像します。