アスペルガー症候群の治療について
アスペルガー症候群は、先天的な脳の形状特性に起因する「障害」です。「病気」ではないので、治療はできません。当たり前ですが、いくら薬を投与しても、空気を読めるようにはならないのです。
「療育」で能力を伸ばしていく
ではまったく症状はよくならないのかというとNOです。特に子供の場合は、人と関わるなかで、どんどん能力が伸びてくるそうです。本人の苦手を理解し、得意なところを活かして補いながら成長を促すことで普通の社会生活が営めるよう支援していく。これは「治療」ではなく「療育」と呼ばれます。発達障害の専門医やカウンセラーが力を貸してくれます。多少込み合っていたとしても、経験がある専門の先生に診てもらいましょう。お金に余裕があるご家庭なら、個別にその子の脳を診断してもらい、その子の才能を発掘しながら脳を育てていくサービスを利用することもできます。(参考:発達障害の診断)
大人のアスペルガーと二次障害
アスペルガーは、とても「生きづらい」障害です。自分が当たり前と思ってやっていることが、いちいち人に怒られたり、仲間はずれにされたりすることで傷つき、どんどん自信を無くしていきます(あるいは逆に自分の劣等感をカバーするために自信過剰になります)。こうして成人した大人のアスペルガーの方には、うつ病などの精神疾患を発症する方が非常に多いそうです。ある臨床医の調査では8割近くに精神疾患の傾向が認めらています。これは「障害」に起因した「病気」です。二次障害と言われることもあります。薬を処方し症状を抑える等、医師により手段は様々ですが、この二次障害を対象として治療が行われることはあります。ただし、アスペルガー症候群自体がよくなるわけではありません。
これまでの努力に誇りを
大人のアスペルガーの方は、自分を否定する必要はまったくないと思います。生まれながらにして、脳の形状に特徴があり、たとえば「人と感情を同期させる能力」や「相手の表情をリアルタイムで解釈する能力」などが育ちにくかったのです。人格の問題ではないのです。アスペルガーは脳に起因する障害なのだということ。この事実をもっと知ってほしいとも思います。いつも多数派に合わせてくれてありがとう。あなたのこれまでの人知れぬ努力と苦労に心から敬服します。(参考:アスペルガーは脳の使い方が違う?)