アスペルガー症候群の発見
アスペルガー症候群は、1944年にハンス・アスペルガーにより「自閉的精神病質」として報告されたもので、1981年にローナ・ウィング医師により再発見および命名されました。
ウィングらは、自閉症と同じ発達的な不全を根底にもつのに、一般的な自閉症(カナー症候群)に合致しないために自閉症との共通点が認識されていない人たちがいることを確認(1979年)。こうした人たちも自閉症と同じように必要な支援が受けられるよう、アスペルガーの論文を再整理して、「アスペルガー症候群」という診断名のもとに、自閉症との類似性について報告(1981年)。
これがきっかけとなり、世に広く認知されることになり、精神疾病の2大診断基準となっている世界保健機関(WHO)とアメリカ精神医学会(APA)のそれぞれにおいて診断分類のなかに正式に取り上げられるようになりました(1992年、1994年)。
ウィングは自身が重度の自閉症児を持ち、他の自閉症児の親とともに英国自閉症協会(National Autistic Society、NAS)を設立するなど自閉症児支援に尽力されてきました。今アスペルガー症候群の方が必要な支援を受けられるようになってきたのは、彼女の功績によるところが大きいと思います。