発達障害の専門医不足

最近は発達障害に関する診断をしてくれる病院も増えてきましたが、専門医でない方が対応しているケースも多いようです。

ごく最近の事例として、ある大手組合系の病院の小児科医が、子供の発達診断の相談に来た親に向かい、「そもそも発達障害のある子は人と関わろうとしないんですよ」と説明していました。

これはもちろん間違いで、高機能自閉症やアスペルガーであれば、むしろ積極的に人と関わろうとする子もいます。これは専門医が書いた本を読んだり、インターネットで調べればすぐに得られる基本的な知識ですが、「発達障害の特診外来」を掲げる病院の医師ですら、実際に上記のような説明をしてしまうのです。

たしかにどの病院も発達診断は申し込みが殺到していて、スタッフの体制が追いつかない状況にあるとは思うのですが、誤診によって、その子が本来必要としていた療育を受けられなくなるようなことがあれば本末転倒。「医師に大丈夫と言われた」ことで、親が安心してしまい、かえってマイナスに働くことも多いと思います。

その医師は、「人と関わろうとする子もいますよね」と親に詰め寄られ、「すいません、私も専門医ではないので・・・」と最後には認めて、発達支援センターのパンフレットを差し出しましたが、どこまで医師の言うことを鵜呑みにしてよいのか考えさせられる話でした。

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2012/07/10 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:AS雑感

アスペルガー症候群とIT企業の仕事

以前からアスペルガーはITと相性がいいと言われてきました。コンピュータプログラムというのは、まさに「字義通り」に動くものですし、アスペルガーの人には親しみやすいのかもしれません。

デンマークのコペンハーゲンに本社を構えるSpecialisterne(スペシャルテルネ)という会社は、社員55人中の約75%をアスペルガー症候群の人が占めるそうで、設立以来9年黒字を続けているとのこと。ホームページを見ると6カ国にオフィスを構えるまでになっているようです。

この会社はトルキル・ソンネさんという、アスペルガー症候群の子供を持つ方が作った会社で、アスペルガーの人を雇って、新作のコンピュータプログラムをテストする事業を営んでいるそうです。社名の横にはいつも「Passion for details」というキーワードが並べられていることからも、アスペルガーの長所を活かそうという思いが伝わってきます。

個人的な感想ですが、たしかにアスペルガーにとってITに関連する仕事は天職であるようにも思います。実際にHTMLやJavaScriptを1日で(しかも独学で)マスターした人、まったくの未経験で誰にも教わらず3時間程度でJAVAのデバッグをマスターした人を知っています。

もし子供に発達障害(アスペルガー症候群)の傾向を感じたなら、一度コンピュタープログラムを触らせてみるといいかもしれません。

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2012/07/04 | コメントは受け付けていません。 |

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アスペルガーの長所

アスペルガーの人は他者の感情に気づくのが苦手で、場違いな言動や、相手を傷つけてしまう言動をとることがあります。コミュニケーションや社会性の部分で決定的な不得手があることは事実だと思います。

では得意な部分が無いのかというとNOで、たとえば机上の勉強などは得意であると言われます。でも私はもっともっと多くの長所があるように思います。たとえばアスペルガーの人は、考えていることと話していることが一致していることが多く、とても誠実だと感じます。相手を傷つけてやろうなどといった悪意や、自分だけが得をしようといった狡さも少ないように思います。

ただ、こちらの状況が「見えていない」ので、たとえばこちらがすごく忙しくしているときに平気で話しかけてきたりして、「もう、あとにしてよ!」と怒られたりします。でもそれは目が不自由な人がぶつかってきたときに「どこ見てんだよ!」と怒るのに似ているのかもしれないと思うことがあります。彼らはわがままなのではなくて、能力的な不得手があるだけなのですから。

そして単なる能力的な不得手なのに、上記のように怒られ続けてたら、どんな人でも辛く嫌な思いをするはずです。これが重なることで、多くのアスペルガーの人は自信を無くしていきますが、まれにとても心優しい人たちのなかで育ち、傷つかずに大人になった人もいます。この人は自分の意見をまっすぐに言いますし、仕事には実直に取り組み、約束も守る。ちょっと変わってはいますが、周囲が心洗われるような素敵な人です。この人を見ていると、これがちゃんと育った本来のアスペルガーなのかなと思うことがあります。

もっともっと世の中でアスペルガーをはじめとした自閉症スペクトラム障害への理解が進み、アスペルガーの人が持つ長所が花開くような社会になれたら、本当に素敵だと思います。

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2012/07/02 | コメントは受け付けていません。 |

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障害か個性か

この子の言動は、障害か個性か。わが子に発達障害の疑いを持ったとき、多くの親は「障害なんて大げさ、ちょっと人と変わっているだけ。個性よ個性。」と考えるものだと思います。そして専門家による診断は受けず、なんとかやれている子どもを見て「大丈夫、大丈夫」と時が過ぎていきます。

障害か、個性か。これを自問するとき、正確にいうと私達は「この子は障害者なのか、障害者じゃないのか」について考えているのだと思います。そして当然ながら障害者だとは認めたくありません。言葉だって普通に話すし、元気に遊んでいる。この子が障害者のはずがない、と。

いっぽう、ある心療内科の先生の統計に、発達障害の子どもが成人するにつれ、うつ病を合併するケースが78%、不安障害36%、依存症44%。合併症なしはわずか4%というものがあります。また、実際に自信を無くし、心がボロボロに傷ついてしまっているASの成人が数多く存在しています。

こうした事実をもとに考えると、ちゃんと「障害がある」と認めてあげること。つまり、ほかの子が当たり前にできることが、いつまでたってもできないのは、「この子の努力不足ではない」とわかってあげること。このことがとても大切なのではないかと私は思います。

ASの子が、場にふさわしい行動がとれなかったときに怒るのは、手が不自由な子が箸を落とすたびに「なんで持てないの?」「何度注意したらわかるの?」と叱責しているようなものだと思うことがあります。(不適切なたとえでごめんなさい。でもそれくらい子どもは辛い思いをしている可能性があると知ってほしいのです)。

いっぽう「あーこの子はこういう個性なんだな」と放置するのも危険だと思います。まず家の外でさんざん傷ついて、自己評価を下げます。次に、これ以上傷つかないよう人と距離を置いてふるまうようになります。その結果、いっこうに社会性が育たず、大人になって大変な苦労をすることになります。

適切な療育を施すために、障害は障害として認められる必要があるのだと、専門書には繰り返し書いてあります。私もそう思います。そもそも個性というのは、その子に限らず、すべての子に存在するものなのですから、「障害か個性か」という問い自体がおかしいのかもしれません。また「障害があるか、ないか」が重要なのでもないと思います。その子の親として一番知っておきたいのは、「この子には特別な支援が必要かどうか」ではないでしょうか。

※本サイトも、ご参考まで。(子どもの発達障害の診断について

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2012/06/22 | コメントは受け付けていません。 |

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